600光年先で太陽の千倍の星が爆発するかも
オリオン座のベテルギウスが超新星爆発の危機にあるそうです。
専門家は「爆発は数万年後かもしれないが、明日でもおかしくない」と話しているとのこと。
ベテルギウスに爆発の兆候 大きさ急減、表面でこぼこ(朝日新聞)
果たして地球は被害を受ずに済むでしょうか。
私の好きな本、「もしも月がなかったら」の一つの章「もしも地球の近くで恒星が爆発したら」では、
50光年先にある、太陽の20倍の恒星が爆発することを仮定しています。
まず、爆発から50年後、地球の生物は光と一緒に放出された大量のX線とガンマ線を突然浴びることになります(50年後と書いてありますが、地球にとっては突然の襲来となります)。
これによって、数日のうちに地球の動植物が死に始めます。その後も徐々にガンが発生してしまい、多くの生物が死んでしまいます。
対策は地中にシェルタを作ること。ただ、現在のところ人類全員が隠れるものはもちろんありません。また、多くの種が滅びることにより、食物連鎖が大きくくずれてしまい、人類を含めた生物は大混乱に陥ります。
次に、爆発した恒星が発した紫外線によって、数日で地球のオゾン層が破壊され、恒星の紫外線に加えて、普段ならオゾン層によってさえぎられるはずの太陽の紫外線も地球を襲います。
また、数年後には宇宙線が到達します。光速の90%にも達する、超高エネルギーの粒子です。
これらも生物に大量のガンを発生させてしまいます。
最後に、吹き飛ばされた粒子が1000年後に到達します。これは劇的な被害を与えないものの、様々な元素が地球に降り注ぐ可能性があり、土壌が化学変化を起こすかも知れません。
さて、今回のベテルギウスは600光年先で、太陽の1000倍なわけですが、
爆発エネルギーに対する距離の効果は、距離の2乗に反比例しますから、
(50/600)^2 = 1/144 と大幅に減衰されます。
しかし、恒星の大きさの点では、何倍になるのでしょうね。
もし体積に比例すると仮定すると、(1000/20)^3 = 125,000倍にもなってしまうので、距離の減衰分がキャンセルされてしまい、
トータルのエネルギーは125,000/144 = 868倍となり、これはえらいことです。
ただ実際は、巨大な星は密度が希薄なので、エネルギーはこれほどまでの倍率にならないかも知れません。ここは天文学者のご意見を伺いたいです。
まぁ、明日から数万年後までのいつかにベテルギウスが爆発しそうだということなので、私たち人類は一応の覚悟をしておいたほうがよいようです。
ベテルギウスが爆発すると、オリオン座の全体の形を作る外側の四角形が三角形になってしまい、オリオンがちょっとカッコ悪くなりますね。
地球から50光年以内では、2500万年に一度の割合で超新星爆発が発生するとのこと。こうしたご近所での超新星爆発は、決して悪いことばかりではなく、突然変異の誘発により生物の進化に役立った可能性もあります。
次に近くで爆発が発生するときには、人類が英知と勇気でこの危機を乗り越えられることに期待したいものです。
上記の本では、「もしも月がなかったら」「もしもブラックホールが地球を貫通したら」など、科学的に大変興味深い仮定をして、深い考察のもとリアルなシミュレーションをしています。
天文ファン、科学ファンの方にお勧めです。
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