帝国ホテル ラ・ブラスリー'07/9月の限定メニューで至福の時を
07年7月に放送された「NHKプロフェッショナル」で、帝国ホテル東京の総料理長 田中健一郎さんがとりあげられた回を見て、感動のあまり涙がでてしまいました(笑泣)。たくさんの良い言葉をおっしゃっておられましたが、特に「料理は人なり」に感動しました。心をこめたよい料理を提供するべく、田中さんや400人のスタッフの皆さんが日々精進されていることがよく分かりました。
ところで、帝国ホテル史上初めて、シェフの名前を冠したメニューが作られたそうです。題して、「第13代料理長 田中健一郎が贈る ”美食の秋”」。
9月と10月でメニューが違います。その、9月のメニューは。
・アミューズ ブーシュ
・戻り鰹のタルタルと茄子のキャヴィア仕立て
トマトのジュレとマンダリンを薫らせて
・秋鱧と茸のコンソメスープ
・舌平目にオマール海老を詰めた白ワイン蒸し
ジュラ地方 ヴァンジョーヌのソースにて
・国産牛フィレ肉とフォアグラの取り合わせ マデラソース
名品“フィレ ドゥ ブッフ ア・ラ・ロッシーニ”を現代風にアレンジして
・森の果実とアーモンドプラリネの2色のアイスクリーム
色とりどりのコンポートフルーツを添えて
月末も近くなってきたので、9月メニューを逃すまいと出かけてきました。(一緒に行った友人には、ホテルのロビーで私のPCを使ってDVDを見せて「予習」してもらいました(笑)。事前に見ていたほうが感動が増すと思ったから。)
今日は連休のなか日とあって、座席はほぼいっぱい。
(画像はクリックで拡大)
まずは、アミューズとしてにしんの酢漬けを出していただきました。チーズなどの入ったクリームが添えられています。お酢のさわやかさが食欲を刺激します。(写真上)
次は「戻り鰹のタルタルと茄子のキャヴィア仕立て トマトのジュレとマンダリンを薫らせて」
上がトマトのジュレ、次がキャビアソース、その下が鰹のタルタル、そしてマンダリンのジュレ。4層にもなった前菜なんてこれまで食べたことがありません。鰹はぷりぷりで、独特のクセなんてみじんも感じません。
きっと鰹のクセを、マンダリンなどがきれいに消しているのでしょう。一番上のトマトのジュレも、一番下のマンダリンのジュレも、それだけ食べてもおいしいものでした。
スープは秋鱧と茸のコンソメ。(写真上はコンソメが注がれる前)
鱧(ハモ)とコンソメという組み合わせが新鮮です。まいたけにミョウガまで乗っています。日本通の外国人も喜びそうな一品。
スープがつがれる前のハモは、実に香ばしい香りを漂わせます。スープ皿が適度に温めてあるのも心配りですね。そして手間暇かけて作られたコンソメが静かに注がれます。
コンソメだけでもとてもコクがあっておいしい。友人は「頭に鶏肉が浮かぶよう」と言ってましたが、その例えはよく分かります。
鱧は小ぶりながら、独特のうまみがよく閉じ込められたものでした。
先月新宿で食べた鱧のフルコース(記事はこちら)で、鱧の一番うまい食べ方は焼き鱧ではないかと感じたのですが、今日も焼きですから、料理長も同じ感覚なのかなぁ、などと考えてしまいました(笑)。
ホテル内には、コンソメだけを作っている厨房があるそうなのです。なんとコンソメだけですよ。で、このコンソメを作るのに4日間もかかるとか。おいしくて、にごり味がなくて、美しく澄んでいるスープを取るためには、こんなにも手間がかかるものなのですね。
コンソメ厨房がしっかりとしたスープを作るがゆえに、他の厨房は安心して自分の料理に専念できるのだそうです。
お魚料理は「舌平目にオマール海老を詰めた白ワイン蒸し ジュラ地方 ヴァンジョーヌのソースにて」。
オマール海老の強いうまさが、平目のあっさりした身とバランスよく混じります。海老はプリプリしてます。また、このソースがうまいうまい。パンでしっかり拭い取っていただきました。
・国産牛フィレ肉とフォアグラの取り合わせ マデラソース
名品“フィレ ドゥ ブッフ ア・ラ・ロッシーニ”を現代風にアレンジして
フィレ ドゥ ブッフ ア・ラ・ロッシーニは、フィレ肉の間にフォアグラを挟みこんで加熱する伝統的な調理法。今回は、真空の調理器を使って57度の低温で1時間もかけて調理した現代風。ビーフのうまみがしっかりと閉じ込められています。しかも、生とも焼きとも違う、初めて食べるとてもやわらかい食感。本当に不思議なおいしさでした。
マデラ酒を煮込んで作ったマデラソースは8月にもいただいたものですが、やっぱりうまい。これは、亡くなられた先代の総料理長・ムッシュ村上の残した名ソースなんだそうです。パンで拭ってきれいにいただきました。
いやぁ、笑っちゃうほどおいしい一品でした。
デザートは「森の果実とアーモンドプラリネの2色のアイスクリーム 色とりどりのコンポートフルーツを添えて」。
アーモンドプラリネは初めて食べました。ムースのようにふわふわなのかと思ったら、逆にしっかりどっしりとアーモンドのおいしさが詰まっていました。いちじくのコンポートもおいしいったら。
コーヒーも、香り高く、コクのあるものでした。お茶菓子として出たマシュマロは、何が入っているのかとても香りがよかったです。
今回のメニューから積極的に和の食材を取り入れているそうで、楽しさがとても広がっていると思います。でも、最近流行りの創作フレンチとは違って、伝統をしっかり受け継いでいるところがきっと帝国ホテル流。
また、帝国ホテル流と言えば、スタッフの方の応対がとてもよいことです。一流ホテルというとっつきにくさなどみじんもなく、皆さんが気さくに応対してくださいます。
「周辺に新しいホテルがたくさんできていますが、設備の面ではかないません。そのため、ソフト面で最良のサービスを提供しようと考えているのです」とおっしゃった方がおられましたが、この心地よいホスピタリティならどこのホテルにも負けないような気がします。
お忙しい田中総料理長がたまに顔を出された際には、サインや握手を求められたりするそうですが、田中さんも気さくに応じてくださるとか。
12,600円(税サービス料別)と安くはありませんが、なんとか手の届く値段です。日本最高峰のフレンチレストランのコースですから、それだけの価値はあると思います。
9月と10月でメニューが違うので、9月のメニューを味わいたい方はお急ぎください。
私は10月にも是非行きたいと思っています。
また、いつかは両親に、最高のフランス料理を味わってもらいたいものだと思っています。
帝国ホテル東京|レストラントピックス 第13代料理長 田中健一郎が贈る"美食の秋"
私が07年7月にラ・ブラスリーでいただいたときのコースはこちら。→誕生日には帝国ホテルでフランス料理を(「人生はフルコース」)
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