人類滅亡前に民間恒星宇宙船で脱出・SF「僕たちの終末」
良く聞かれる命題・人類最後の日が近づいたとき、あなたは何をしますか?
私は独身だから、両親と過ごすか、大好きな桜を訪ねて旅をするかのどちらかでしょう。
でも、この小説の中の主人公たちは他の恒星系に脱出しようとした。しかも国レベルではなくて、民間人の力で。
「僕たちの終末」では、2050年に太陽の異常により人類が絶滅の危機に瀕し、だったらひと思いに宇宙船を作って近くの恒星系に脱出しよう、という主人公たちの涙ぐましい努力が描かれています。
単に技術だけではなく、彼らは資金、法律、政治などの様々な困難にぶつかります。
特に政治はひどい。人類が滅亡しそうだと聞けば、各国が連携して難題に立ち向かおうとするのかと思ったらそうはいかない。
だから主人公たちは民間人としてやるしかありませんでした。しかも政治は、彼らのチャレンジを妨害しようとさえします。
滅亡の危機を前にして、主人公は自分自身や人類の存在意義を考えさせられます。
大きな危機を迎えているというのに、一致団結なんてできない。人類なんて所詮そんなものかも知れません。これで滅んでしまっても、人類の自業自得なのかな...と私はちょっと悲しくなりました。
いろいろ考えさせられますが、小説全体はノリが良くて、テンポ良く読めました。
宇宙船建造のステップや資材運搬など、かなり現実的な積上げをベースにしています。
政治や世界のありようなども、現実の延長上にあって納得感があります。
宇宙船内で想定される生活もなかなか笑えます。実態はこんなものなのかも知れません。
最後にはどんでん返しが待っています。果たして主人公たちは無事に脱出できるのでしょうか。
現在民間人で、恒星間有人宇宙船を打ち上げたいと思っている方にとって、何をすればよいのかが分かる参考書にもなると思います。(←まだ誰もそんなこと考えないって(笑)。)
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