奇跡のホイヘンス、数分のミッションのために
土星探査機カッシーニから切り離されたホイヘンスは、無事に衛星タイタンに着陸しました。
運良く陸に降りることができ、着陸場所は海に近いぬかるみだと推測されています。
タイタン探査機“ぬかるみ”に着陸
ホイヘンスはいくつもの幸運が重なって、今回のミッションを果たすことができました。
1.タイタンに陸地があった!
タイタンは雲に覆われているから、陸があるかどうか観測できていなかった。でも、実際には陸があった。
2.着陸したのが偶然にも陸地だった
ホイヘンス自体には着陸する場所を選ぶ機能はなく、風まかせで降りるしかなかったようです。
で、もし運悪くメタンの海に着水してしまうと、沈んでしまうまでの数分間しか観測ができない!
(といって、運良く陸に降りられたとしても、マイナス180度という厳寒のため、バッテリーの持続時間などの制約でたった3〜30分程度しか地上の観測ができないとされていました。
実際は、着陸後15分までライトが点いていたそうなので、その頃まで持ったということでしょう。)
3.途中で壊れなかった
7年以上前に作られた装置が、打ち上げや切り離しや風の中への突入など、いろんな衝撃によく耐えたものです。タイタンへの突入は、予想以上に「乗り心地が悪かった」そうです。
今回のミッション成功には何重もの幸運が味方していますね。
でも、悲しいかなすでにバッテリー切れで機能停止していることでしょう。
7年以上もかけてたどりついた15億キロ先で、着陸後わずか15分のミッションを果たす。
もしホイヘンスに心があったら、孤独でやり切れないでしょうね。
(タイタンの大気圏突入から観測終了まででも、約3時間40分しかなかったそうです。)
一方で、火星探査機スピリットは、設計寿命3ヶ月で作られたにもかかわらず、1年経ってもまだ元気に動いているそうです。
がんばれスピリット! ホイヘンスの分まで。
数十年後、あるいは数百年後、タイタンへの有人飛行ができる頃には、ホイヘンスの着陸地点には記念公園が作られていることでしょう。
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