温暖化ニッポンでは染井吉野が咲かないかも
地球温暖化が進んだ未来の日本では、染井吉野が満開にならなかったり、開花さえしなかったり…。
九州大の教授が、こうした研究結果を日本気象学会で発表するそうです。
満開ソメイヨシノ、幻になる?温暖化進行の40年後予測(asahi.com)
染井吉野は、夏にできた花芽が、一定期間の低温にさらされて初めてきちんと開花します。これを、休眠打破といいます。しかし、温暖化によって休眠打破がきちんとなされないと、満開にならなかったり、開花さえしなかったりします。現在でも、九州南端の鹿児島などでは、暖冬の時には桜が咲きそろわないことがありますね。
更に温暖化が進むと、染井吉野が生育しない場所が発生するかも知れませんが、この研究結果ではそこまで検討していないように思います。
つまり、染井吉野の分布自体が変わってしまうことです。
私が見た中でもっとも南端の染井吉野は、沖縄本島北部の山岳部のものです。数十本植えられていましたが、いずれも元気がなく、小さいままのもの、今にも枯れそうなもの、そしてすっかり枯れてしまったものなどでした。また、秋に少し開花したり葉を出してしまうのも特徴的な現象です。冬の休眠を待たずして秋に開花してしまうのです。秋に葉が出ても、冬が来ると落ちてしまうそうで、これが繰り返されると春に出るべき葉が少なくなってしまい、成長を妨げることになります。
地球シミュレータの少し古いシミュレーションによれば、2100年の東京は、今の奄美大島くらいの年平均気温になってしまうそうです。現在の奄美では、染井吉野は高山部にしかありません。ということは、東京の平地では染井吉野が育たないかも知れません。東京の染井村(豊島区駒込6丁目付近)から全国に広まった桜なのに。
東京より西の地方では、やはり平地で染井吉野が見られなくなるかも。
地球温暖化で最も怖いのは、実は食料の生産量が減ることや、地球規模で食料の分布が変わってしまうことです。それに伴う食料争奪戦が起きるのはもちろんのこと、人類がおろかであれば、食料戦争が起きてしまうかも知れません。
疫病の拡大も恐るべきリスクです。
なので、本当はのんびりとお花見の話などしている場合ではないのかも知れません。
さまざまなリスクを減らすため、そして日本人の心の花である桜が少しでも今の様子をとどめられるよう、私たちは温暖化に対して、省エネやCO2地中固定などの対策を行なっていく必要があると思います。
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